下眼瞼下制の治療その1

下眼瞼下制の手術は先にも触れましたが、吊り目をたれ目に近づける治療です。ドクターの絶妙なバランス感覚が重要になる治療です。やりすぎると「べっかんこう」になってしまいますからね。治療そのものはここ数年ポピュラーになってきたところですが、治療技術そのものは眼瞼下垂の治療とさほど変わりません。まさに「さじ加減」というにふさわしい微妙な治療になりますが効果は絶大で、術前とは見違えるような印象の変化がもたらされます。

私たち人間の下瞼というものは、もともと上瞼ほど活発に動かすことが無く、ほとんどの人の場合、上瞼の動きに引っ張られるような形で運動しています。したがって目を大きく開こうとしても、上瞼に下瞼が引っ張られてうまく大きく開けないということになるわけです。もともと細目・吊り目の人の場合、この状態が顕著ですからよけい目を大きく開くことが困難になると考えられます。下眼瞼下制ではこうした状態をうまく解消し、表情に目力(めちから)を与えてくれるのです。

目元のように目立つ場所の治療ではありますが、手術の痕は残りません。なぜなら切開を行うのは下瞼の裏側だからです。下眼瞼下制では、下瞼の裏、結膜側にメスを入れます。このメスも、電気メスあるいは炭酸ガスレーザーなどで超精密な治療が行われますので、切開も最小限に抑えられます。下瞼のたるみなども、この下眼瞼下制の手術で同時に解消されることが多いようです。

吊り目の程度が大きく、一般的な下眼瞼下制では足りない場合、瞼の裏だけでなく皮膚側にもある程度の切開手術を施すことがあります。この場合も瞼のシワなどを利用して、手術痕がほとんど目立たないように治療が行われます。抜糸は1週間程度で、皮膚側の傷もやがて完全に判らなくなりますので安心してください。入院の必要はなく、翌日からは洗顔も行えます。

下眼瞼下制の治療に、合わせ技で二重治療や上瞼の開きをよくする治療、挙筋短縮や挙筋タッキングなどの治療を行うことで、さらに大きな目を実現することも可能です。キモはやはり「いかに自然でやわらかな目元にするか」ということで、他の顔のパーツ、鼻や口元、あるいは顔全体の輪郭とも相談しながら、ユーザー本人の個性に最もフィットした目元になるようプロジェクトが組まれるのです。適切な下眼瞼下制の施された目元は、メークの乗りも断然違ってきます。